道具と食のコラム

道具と食のコラム

Vol.22
開発ノート パームハウスグラス・フルール 

このワイングラスは、ワイン大好き人間が構想し始めてから4年、
さまざまな夢想に駆られ、果実が実り落果するように、大ぜいの価値共有仲間の熱情と献身で完成しました。
おいしく、たのしく、健康な食事で毎日を元気に暮らしたい僕にとってのワインは、まずは食事の友。 仰々しくなく、慎ましやかに、普段の生活で愉しみたいワインです。 ちょうど、深呼吸のように。
そんな素敵なワインの魅力、愉しみをもう少し分解してみると、いろいろな側面がありますね。
1. 素晴らしく美しい自然の色。
2. さまざまな追憶を呼ぶ自然の香り。
3. 甘く渋くたゆたう味。
4. 寛容な気持ちになれる酔い心地。
5. 生産地の自然や歴史。
6. 作り手の情熱や汗、飲み手へのメッセージ。
7. そうした諸々への感謝の心をもてる。
8. 良質のクリステルガラスに凝縮した自然の肌触り
9. そして、食事をおいしくしてくれる。
こうして、
「ワインが持つ可能性を上手に引き出してくれるグラス」
「手の平で慈しむようにワインを楽しめる気持ち良いグラス」
「重ねてコンパクトにしまえて、一つ一つも、重ねても姿が美しいグラス」
「液体を手ですくう感覚に近い薄さでありながら、丈夫で上質なグラス」
を願望・目標に開発を始めたのですが、
これを可能にしてくれたのは、後出の如くワインと食のアドバイザー楡井健一さんのワインへの情熱、知識、献身、そしてデザイナー宮城壮太郎さんの「用の美」へのひたむきな忍耐です
そして、「単純なほど制作は難しい」と云われる通り、高い精度を要求される単純なデザインの製造工場探しも一苦労でしたが、創業以来215年の歴史と優秀な技術を継承・進化させてきたチェコの老舗の若き経営陣の理解・共感を得ることが出来たのも大きな幸いでした。
感謝を込めて、  チェリーテラス 井手孝利 記