道具と食のコラム

道具と食のコラム

Vol.47
奥田政行シェフによる「おいしい食材選びとバーミックス&クリステル料理の会」報告

山形・庄内の食材を活かした料理で知られるイタリア料理店「アル・ケッチァーノ」。そのオーナーシェフ奥田氏を迎え、食材選びのポイントと、その食材を活かしたおいしい料理のコツをお教えいただく会を6月15日代官山ヒルサイドテラスで開催しました。

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「アル・ケッチァーノ」は、半年先まで予約がとれないほどの人気店。さらに奥田シェフは、庄内の食の親善大使として、また日本を代表するシェフとして、世界を舞台に幅広くご活躍中です。その忙しいシェフに時間を作っていただき、料理の実演をしながら、熱い思いを語っていただきました。
その一部をここにご紹介しましょう。

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⇒奥田シェフのプロフィールは、こちらから

料理は食材選びから始まります。野菜はよく外見を見て、においをかぎ、ちょっとさわって選びます。八百屋さんには嫌われますが…(笑)」と奥田シェフ。
「トマトなら『トマトさん、トマトさん』と語りかけるような気持ちで選んでいます。野菜に限らず、果物、肉、魚など、素材を選ぶためには、それぞれの特性をよく知り、見きわめるポイントをおさえることですね」。
アル・ケッチァーノの厨房では、どんなに忙しいときでも、食材には必ず「さん」などの敬称をつけて呼ぶそうです。
トマトの見分けについて解説する奥田シェフ

次に大切なのは、素材の特徴に合わせて的確な火入れ(加熱)をすることです」と奥田シェフ。「クリステルは、火の通りがなめらかで、均一に熱が伝わるので気に入っています。保温カバー、ホット・キルトを使うことで、さらにじっくり火を通すことができます」。
その例として、「じゃがいも、さつまいも、かぼちゃのローズマリー焼き」を実演していただきました。オリーブオイルで野菜を焼いてから、鍋にふたをしてホット・キルトに入れ、保温します。「じゃがいもは、火が通ってから約50分加熱することで麦芽糖を引き出すことができます。ホット・キルトが、この『引き出す』作業をしてくれるのです」。
できあがりを試食してみると、野菜が固いのに火が通っていて、しかも野菜の甘みがしっかりと引き出されているのに、びっくりでした。
「火入れをするときは、素材の音に注意を払います。音を聞きわけ、香りをかぎわけることで、素材に的確に火が入っているかがわかります」。調理中は五感を働かせることが大切という奥田シェフのことばに、ご参加のみなさまもうなずいていらっしゃいました。
音の変化に耳をすませましょうと語る奥田シェフ

「パスタを茹でるときには、クリステルのクッキングバスケットが便利です」。新著『アル・ケッチァーノのパスタ』の中でも紹介されている、奥田シェフのパスタの基本の茹で方は、塩分濃度の濃い湯でパスタを茹で、熱湯ですすぎます。きりっとしまったコシのあるパスタに仕上がるからだそうです。本の中で、この一連の作業の工程はクリステルとクッキングバスケットが使われています。バスケットごと湯からさっと引き上げ、そのまま熱湯ですすぐことができるからです。

ジェノベーゼは、なるべくバジルに熱を入れないことが大切です、とシェフ
今回は、大葉の入ったジェノベーゼパスタを教えていただきました。ジェノベーゼソースは、バーミックス・スーパーグラインダーを使いこなして、なめらかに仕上げます。ポイントは、ブラックペッパーを仕上げにふること。不思議なほど甘さを感じるソースになります。
※ このレシピは、10月に発行予定の本に掲載の予定です。追ってお知らせします。
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※e-gohanに掲載の奥田シェフの「冷蔵庫そうじのペペロンチーノ」のレシピをぜひご参考にしてください。⇒レシピへ

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バーミックスは修行時代から20年以上愛用されているとのこと。
「バーミックスは使っているといろいろなアイデアがわいてきます。もっといろいろなレシピを考えてみたいです」。

「素材のうしろには、心をこめて作った生産者がいる」。1つ1つの素材を大切に扱い、素材と会話をしながら、その旨味を最大限に引き出していくシェフの料理。多くの人々が魅了される、その理由がよくわかりました。
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会は、チェリーテラス代表井手櫻子が奥田シェフに質問をなげかけ、お答えいただきながら進行しました。奥田シェフの調理理論に基づきながらも明るく楽しいお話に参加者一同で笑い、また震災支援のお話には目頭を熱くしました。
奥田シェフ、ありがとうございました!