「少しずつ口に入れて、よく噛んで味わって食べてね」
90歳の母の食事介護のたびにどれほどくり返し言ったことでしょう。でもやはりせかせかと口にほおばってしまいます。嚥下性肺炎(食べたものが気道に入ってしまって起きる肺炎。誤嚥性とも言う)をおこして入院、高熱で苦しい思いをしたことがあるのに、懲りてないとしか思えません。亡くなった父も同じ肺炎で入院したことがあり、高齢者にはかなり多い病気なのだそうです。
前回登場の和田敏子さんにうかがって、なるほどと納得ができ、母に対して少しやさしく考えるようになれたのは以下のようなお話しでした。
口の中の老化・・・・ 年齢が高くなるとともに歯のトラブルが多くなり、義歯総入れ歯を使っても固いもの、弾力のある食品が食べにくくなります。だ液が減るのでパサパサしたものが食べにくいですね。食べ物を噛む、舌を使って咽頭に送り込む、気道を閉じて食道に送り込む、といった機能も衰えてしまうのです。誤って気道に食べ物が入った時に咳をして吐き出す力も弱ります。口の中の感覚も鈍くなり、食べ物をたくさん口に含まないとはいっている量の実感がつかめなかったり、味覚も鈍くなっていることなどから、せっかちに食べてしまうケースが多いのです。そうするとトラブルもおきやすい、つらいところですね。口から食べる、おいしく食べることができるのは、最も大切な生きる基盤ですから、頭や手、足をよく使って老化を予防するのと同じように、口の中の機能を鈍らせないように、日頃から工夫することが大切だと思います。
たとえば筋肉をきたえる・・・
まず顔の筋肉をよく動かすことでしょうか。話をしたり笑ったりすることが有効ですが、意識的に口を大きくあけたり動かしたり、声を出す、舌をうんと出したり・・・すべて筋肉ですから動かすことで衰えを防げるのです。
たまにはとても冷たいものを口に含むのもよい刺激です。日常的にできることをこまめに実行するだけでもかなり違ってくるはずです。高齢の方のリハビリなどに顔と口を動かすメニューもいれるといいと思います。
早速実行・・・
和田さんのお話を母にも伝えたら「歳のせいなのね!」と安心したようでした。私もお風呂のなかで歌をうたったり、百面相みたいに顔や口を動かし、舌をだし、テレビ局の新人研修みたいなことをはじめました。いくつになってもおいしいものを楽しく食べることが出来ますように、と少し努力をしています。 |