はじめてバーミックスを知ったのは、1970年代後半の秋の一日、紅葉が美しい庭木に囲まれた浦松佐美太郎さんのすてきな洋館の居間でのことでした。
いまでもその光景を懐かしく思い出すことができます。
浦松さんは評論家として、翻訳家としても活躍された方でしたが、それよりも昭和初年代スイスアルプスの登山家としてよく知られ、名作「たった一人の山」の著者として知られていました。その浦松さんの奥様フキさんが、愛用していらっしゃるとても便利なミキサー、を見せて頂いたのです。まったくはじめてみる道具でした。
その時一緒だったのは小学校一年生から同級生ご近所遊び友達の3人。井手桜子さんともう一人の井出さんでした。
後に井手さんがスイスからのバーミックス輸入をはじめた時にはいち早く手に入れて、毎日のように使うようになりました。
私にとってバーミックスは単なるハンディフードプロセッサーではなくて、あの秋の一日、私たちのおしゃべりをのぞきにいらした浦松おじさまとフキさんの何気ないやりとりなど、ちょっとセピア色の光景のなかの大事なもの、なのです。
ほとんど毎日使っているバーミックスはたしか三台め、ミンサーは10個めくらいになるでしょうか。 |